第一種貨物利用運送事業登録の要件を徹底解説

荷主さんから依頼を受けて、有償で運送業者さんを利用して貨物を運送することを貨物利用運送事業といいます。

貨物利用運送事業には第一種と第二種がありますが、この記事では第一種貨物利用運送事業登録の要件について細かく解説していきます。

第二種貨物利用運送事業の登録要件については↓のページを御覧ください。

3つの登録要件

第一種貨物利用運送事業登録の要件は、大きくわけて以下の3つに分類することができます。

  • 人:欠格事由に該当しないこと
  • 設備:営業所・事務所・店舗、保管施設があること
  • お金:300万円以上の純資産があること

それでは順番に詳しく解説していきます。

欠格事由

「欠格事由」というと聞き慣れない言葉だと思いますが、第一種貨物利用運送事業登録をしようとする人に一定の事情がある場合に、登録ができなくなってしまうというものです。

具体的には、個人で申請する場合にはその人が、会社などの法人で申請する場合には、その法人の取締役・監査役といった役員が以下に該当してしまうと登録できません。

  • 1年以上の懲役または禁錮の刑を受け終わってから、または刑の執行を受けることがなくなった日から2年を経過していない
  • 第一種貨物利用運送事業の登録または第二種貨物利用運送事業の許可の取消しを受け、その取消しの日から2年を経過していない
  • 申請前2年以内に貨物利用運送事業に関し不正な行為をした

なお、貨物利用運送事業は、運行管理者の確保は不要です。一般貨物自動車運送事業では運行管理者を営業所ごとに選任しなければならないのですが、貨物利用運送事業では、運行管理者の選任は不要です。

設備の要件

設備については実運送業のように車両を使わないため、車庫や休憩施設は不要で、営業所(事務所、店舗)があれば問題ありませんが、営業所にもいくつかルールがあります。

貨物を保管することがある場合には、その保管施設についても同様のルールを守る必要があります。

使用する権利がある

当然ですが営業所等を使用する権利が無ければいけません。

使用する権利は、自分で所有していたり、賃貸借契約を結んで借りていたりすれば「使用する権利あり」ということになります。

実際の貨物利用運送事業の登録申請の際には、申請者が使用する権利を有していることを宣誓する書類(宣誓書)を提出することになります。

賃貸借契約書のチェックポイント

先述のとおり、実際の登録申請では賃貸借契約書を提出することはないのですが、大家さんとの間で契約違反になってしまう可能性があるのが、物件の「使用目的」です。

物件の使用目的は、「貨物利用運送事業の営業所」「貨物利用運送事業の保管施設」などであればもちろん問題ないのですが、「住居」や「居住」では営業所や保管施設として使用するという契約内容にはなっていないため契約違反となってしまい、大家さんとトラブルになってしまう可能性があるので注意が必要です。

立地

以下に該当してしまうような建物は貨物利用運送事業の営業所、保管所としては使用できませんので注意しましょう。

  • 違法建築
  • 市街化調整区域に建っている
  • 農地(地目が「田」「畑」)に建っている

財産的基礎

第一種貨物利用運送事業の登録を受けるためには一定の財産的基礎がないといけません。

具体的には純資産が300万円以上なければいけません。

純資産の計算方法は、「(財産的基礎としての)純資産=(会計上の)純資産-創業費その他の繰延資産・営業権-総負債」です。

これは直近事業年度の決算書で証明します。

新設法人の場合には、開始貸借対照表を提出しますが、設立時の払込資本金が300万円以上あることが必要になります。

事業目的

株式会社や合同会社といった法人で第一種貨物利用運送事業の登録を受けるためには、事業目的に貨物利用運送事業という記載が求められます。

事業目的の記載の有無の確認方法は、履歴事項全部証明書(登記簿謄本)と定款をご覧いただければわかります。

事業目的に貨物利用運送事業の記載がない場合は、株主総会にて事業目的の決議を経て、法務局への登録申請手続きを進めてください。

もし、会社の都合で、臨時株主総会を開催できない場合、個別に対応することもできますのでご相談ください。

まとめ

このように第二種貨物利用運送事業許可や一般貨物自動車運送事業許可に比べると比較的緩い要件になっていて、これらの要件を満たすことができれば第一種貨物利用運送事業登録をすることができます。

「要件は満たせそうだが、その確認も含めて第一種貨物利用運送事業登録手続きを依頼したい。」、「第一種貨物利用運送事業の登録手続きに不安があるので専門家に相談したい。」など、第一種貨物利用運送事業について不安やお悩みをお持ちの事業者様は、ぜひ一度ご相談ください

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