都庁前オフィス(平日9時~18時)

03-5843-8541

武蔵小杉オフィス(平日9時~18時)

044-322-0848

お問い合わせ

貨物利用運送事業の起業で失敗しない方法

この記事では、貨物利用運送業をする事業をはじめようと思っている方に向けて、貨物利用運送事業をはじめるときに知っておかなければならないことや、失敗しがちなことについて、数多くの貨物利用運送事業の起業をお手伝いしてきた、運送業を専門分野とする行政書士が解説します。

貨物利用運送事業は許認可が必要な事業です

まず第一種貨物利用運送事業を経営するためには国土交通大臣の行う登録を、第二種貨物利用運送事業を経営するためには国土交通大臣の許可を受けなければなりません。

何を当たり前のことを言ってるんだと思われる方も多いとは思いますが、意外と知らずに貨物利用運送事業をはじめてしまっていて、荷主や金融機関から指摘を受けて慌てて手続きをはじめる事業者様もいらっしゃいます

もし必要な許認可を取得せずに貨物利用運送事業を経営してしまった場合には、貨物利用運送事業法違反として罰則が定められています。

第一種貨物利用運送事業の登録を取得しないで営業した場合→一年以下の懲役もしくは百万円以下の罰金に処し、またはこれを併科

第二種貨物利用運送事業の許可を取得しないで営業した場合→三年以下の懲役もしくは三百万円以下の罰金に処し、またはこれを併科

貨物利用運送事業は、自らがトラック、鉄道、船舶、航空機等の輸送手段を保有せず他の運送事業者の行う運送を利用して、貨物の運送をする事業です。

貨物利用運送事業者は、他の運送事業者と運送委託契約を結び貨物の運送を委託し、他方、荷主との間では運送契約を結び、荷主に対して運送責任を負うことになります。

貨物利用運送事業者は、自社で運送する手段を保有してはいませんが、他の運送事業者に実運送を委託して貨物運送事業を行うため、荷主との関係では、運送会社としての立ち位置です。

このように荷主に対しての運送責任を貨物利用運送事業者が負うことが、貨物利用運送事業が許認可事業である理由だと言えるでしょう。

一方で、貨物利用運送事業と似た運送ビジネスとして貨物取次事業があります。

貨物取次事業は荷主に対して運送責任を負うものではなく、

他人の依頼により、有償で、自己の名をもってする運送事業者の行う貨物の運送の取次、もしくは、運送貨物の運送事業者からの受取(運送の取次ぎ)又は他人の名をもってする運送事業者への貨物の運送の委託若しくは運送貨物の運送事業者からの受取り(運送の代弁)を行う事業(国土交通省ウェブサイト「Q2.貨物利用運送事業と貨物取次事業は何が異なるのか。」より引用)

ですので、荷主に対する運送責任は負いません。

なお貨物取次事業は、平成15年より規制が廃止されており、いまは許認可を取得せずに自由に事業を行うことができるようになりました。

貨物利用運送事業の経営主体と輸送モード

貨物利用運送事業の許認可は、個人事業主・法人のどちらの事業者様も取得することができますので、個人事業主だから貨物利用運送事業を経営できないという制限はありません。

とはいえ、当法人にて貨物利用運送事業の許認可取得手続きをご相談・ご依頼いただいている事業者様は、ほとんどが法人です。

また、関東運輸局が毎週公開している第一種貨物利用運送事業(貨物自動車)の登録事業者一覧を見る限りでも、個人事業主の方で貨物利用運送事業の登録を取得される方は圧倒的に少数です。

そのためこのページでは、法人の事業者様が申請するケースを前提に、貨物利用運送事業を起業する際に失敗しない方法、注意点をお伝えしていきます。

貨物利用運送事業の登録・許可の詳しい要件については以下の記事をご参照ください。

それではここからは、具体的にどのような点に注意しておかなければいけないかについて解説していきます。

貨物利用運送機関の検討

貨物利用運送事業に参入するときには、まずどのような手段を利用して運送サービスを提供するかの検討からスタートします。

この部分が固まらないと利用運送事業の骨組みができていないのと同じ状態ですので、まずはここからスタートする必要があります。

例えば、国内での運送サービスを提供する際、発荷主から着荷主までの貨物の運送を、一般貨物自動車運送事業者が保有しているトラックのみを利用するのか、それとも、内航船舶、鉄道、航空機も利用するのかといった検討です。

また、国際物流サービスを提供する場合は、コンテナ船などを使用した海上貨物輸送サービスを提供するのか、それとも、航空機を使用した航空貨物輸送サービスを提供するのかなどの検討を行います。

なお、国際物流サービスの場合、貨物利用運送事業法の輸出事業のみが規制対象です。輸入事業や三国間輸送は貨物利用運送事業法の規制を受けません

貨物利用運送事業の種別の確認

貨物利用運送機関の検討が終わり骨組みができたら、いよいよ貨物利用運送事業法に基づく許認可の取得の準備に入ります。

許認可取得準備の準備で最初に行うのが、取得する貨物利用運送の種別の確定作業です。

貨物利用運送事業には、第一種と第二種の2種類があり、それら第一種貨物利用運送事業、第二種貨物利用運送事業を利用運送機関(輸送モード)別に分類すると次のように分けることができます。

  • 第一種貨物利用運送事業 貨物自動車
  • 第一種貨物利用運送事業 鉄道
  • 第一種貨物利用運送事業 内航海運
  • 第一種貨物利用運送事業 外航海運
  • 第一種貨物利用運送事業 国内航空
  • 第一種貨物利用運送事業 国際航空
  • 第二種貨物利用運送事業 内航海運
  • 第二種貨物利用運送事業 外航海運
  • 第二種貨物利用運送事業 国内航空
  • 第二種貨物利用運送事業 国際航空

提供したい貨物利用運送サービスにあわせて、上記の中から取得する貨物利用運送事業の種類を選択します。

ここが貨物利用運送事業の許認可を複雑にしているところで、貨物利用運送サービスによって種類が分かれていることが難易度を上げています。

外国人事業者における相互主義

ここで少し補足として外国人事業者に対する制限について紹介しておこうと思います。

実は外国人事業者による第一種貨物利用運送事業(国内航空)の登録や第二種貨物利用運送事業(国内航空)許可の取得はできません

相互主義というのは、日本企業と外国企業とが国際貨物利用運送事業(外航海運・国際航空)の分野において公正な事業活動を行えるようにするという考え方のことです。

もう少しわかりやすく説明すると、国ごとに貨物利用運送に関するルールが異なるので、日本での外国人事業者の事業活動に一定の制限を設けることで、公正に国際貨物利用運送事業を行えるようにしようということです。

ここで言う外国人事業者とは、次のいずれかに該当する者を指します。

  1. 日本国籍を有しないもの
  2. 外国または外国の公共団体もしくはこれに準じるもの
  3. 外国の法令基づいて設立された法人その他の団体
  4. 法人であって1.~3.までに掲げる者がその代表者であるもの、またはこれらの者がその役員の3分の1以上もしくは議決権の3分の1以上を占めるもの

具体的には、海外のフォワーダーグループが出資した日本法人などが外国人事業者に該当します。これらの日本法人の場合、通常、株主の過半数は海外の企業であり、代表者や役員に、親会社の外国人役員が就任していることが多いです。

  • 第一種貨物利用運送事業 外航
  • 第一種貨物利用運送事業 国際航空
  • 第二種貨物利用運送事業 国際航空
  • 第二種貨物利用運送事業 外航

これらの貨物利用運送事業の種別においては、外国人事業者も登録・許可申請が可能ですが、外国人事業者用の申請様式が用意されています。

法人設立手続き

貨物利用運送事業の経営主体が既存法人の場合は、国土交通省へ提出する書類の準備から進めますが、新たに法人を設立して貨物利用運送事業を始められる場合は、法人設立手続きからスタートします。

貨物利用運送事業法令では、法人設立中であっても貨物利用運送事業の登録・許可申請が可能であると規定されているため、法人設立手続きと並行して申請したいというお客様もいらっしゃいます。

しかし、法人設立を進めている途中で役員や本店所在地などが変更されるということもあり、その場合にはむしろ許認可申請が完了するまで余計に時間がかかってしまうということもあります。

現在では法人設立手続きが簡略化されていて、設立の手続き自体にはそれほど時間がかからなくなっていることもあり、当法人では、法人設立手続きを先に完了させた後に、貨物利用運送事業の登録・許可申請を行うことを推奨しています

法人の形態は株式会社や合同会社が一般的ですが、貨物利用運送事業法で定められている許可・登録要件を満たせるのであれば一般社団法人や一般財団法人であっても、貨物利用運送事業への参入は可能です。

会社を設立する際の主な注意点としては、「貨物利用運送事業の許認可取得要件に準拠した法人を設立させること」と「スケジュール」の2点が挙げられますので、少し詳しく紹介します。

貨物利用運送事業の許認可取得要件に準拠した法人を設立させること

まず一つ目の貨物利用運送事業の許認可取得要件に準拠した法人を設立させることについて解説していきます。

貨物利用運送事業の申請を行う法人では、事業目的・本店所在地・資本金・役員の4点に注意が必要です。

事業目的

まず事業目的についてですが、必ず「貨物利用運送事業」と記載してください

第一種貨物利用運送事業や第二種貨物利用運送事業のように利用運送の種別を記載しても間違いではありませんが、「第二種貨物利用運送事業」と記載がある法人が第一種貨物利用運送事業の登録申請を行う場合、事業目的を変更するよう行政機関から指導される可能性があります。

「貨物利用運送事業」と記載すると、第一種と第二種の両方が含まれるので、どちらの種別の申請にも耐えられる表現になります。

本店所在地

2番目の本店所在地についてですが、登記簿上の本店所在地を貨物利用運送事業の営業所とする場合は注意が必要になります。

前提として本店所在地と貨物利用運送事業の営業所が異なる場所でも許認可申請上、問題になりません。

例えば、登記簿上の本店が大阪や愛知で、貨物利用運送事業の営業所が東京や神奈川という貨物利用運送事業の登録・許可申請を当法人で申請したことがありますが、この際にも問題なく許認可を取得することができています。

なお、登記簿上の本店所在地と貨物利用運送事業の営業所の同一場所にする場合は、次の2つがチェックポイントになります。

  • 営業所の使用権限を有していること
  • 営業所が都市計画法等関係法令の規定に抵触していないこと

このチェックポイント自体は、本店所在地と営業所が異なる場所でも同じなのですが、別の場所に営業所を置くというときには「貨物利用運送事業の営業所として使う」という意識があるため、これらを見落としにくいです。

一方で、本店所在地については貨物利用運送事業の営業所として意識せずに場所を決めていることも多いため、意外とこの2点を見落としがちです。

資本金

3番目の資本金に関してですが、資本金の額は300万円以上で法人を設立してください。

これは、貨物利用運送事業の登録・許可を取得できるのは、純資産額300万円以上の法人と決められているからです。

資本金10万円や20万円でも法人設立自体は可能ですが、その資本金の額では設立直後に貨物利用運送事業の登録・許可を取ることはできません。

資本金の額が300万円未満で法人を設立した場合に、最初の決算期前に貨物利用運送事業の登録・許可申請を行いたい場合は、資本金を増やすための増資手続きが必要になってきます。

1度でも決算が終わっていて、かつ純資産額が300万円以上あれば資本金の額が300万円未満であっても貨物利用運送事業の登録・許可を取ることは可能です。

役員

4番目の役員に関してですが、貨物利用運送事業を経営する法人の役員が、貨物利用運送事業法上で規定されている欠格事由に該当していないことが求められます。

欠格事由は以下の3つです。

  • 2年以内に懲役や禁錮が終わった人
  • 2年以内に貨物利用運送事業の許認可を取り消された人
  • 2年以内に貨物利用運送事業に関して不正な行為をした人

貨物利用運送事業の登録・許可を申請しようとする法人の役員が、上記のいずれかの欠格事由に該当する場合は、貨物利用運送事業の許認可を取得することはできません。

ここでいう役員とは、株式会社の場合は取締役・監査役、合同会社の場合は社員の方のことを言います。

スケジュール

新たに貨物利用運送事業の許認可を取得する際、行政機関の一般的な審査期間は次のように公表されています。

  • 第一種貨物利用運送事業の登録 2か月~3か月
  • 第二種貨物利用運送事業の許可 3か月~4か月

この審査期間は、申請先の行政機関の業務処理状況により変動する上、当法人の実績上では、第一種貨物利用運送事業の登録は3か月前後、第二種貨物利用運送事業の許可は4か月以上かかっていることが多いです。

もし、貨物利用運送事業の事業開始時期が決まっているのであれば、貨物利用運送事業の登録・許可の審査期間に加えて、法人設立準備期間を加算した起業準備期間を見積もり、その期間から逆産して、準備を進めていく必要があると言えるでしょう。

また、外国法人が日本に子会社を設立し、その子会社で貨物利用運送事業の登録・許可を取得する場合は、法人設立手続きに日数が要している印象を受けています。

また、意思決定を行う際も、本国の親会社の意向を確認してから進めることが多いため、日本法人側は早く進めたいのに親会社の決裁待ちで手続きが中断することが多いです。

そのため、外国法人が貨物利用運送事業の登録・許可申請を進める際は、業務開始までのスケジュールには余裕を持って進めることをお勧めしています。

委託先との運送委託契約の締結

貨物利用運送事業の登録・許可申請書には、利用する運送会社との間で締結した運送委託契約書の写しを添付する必要がありますので、登録・許可申請を進める時点では、運送業務を委託する運送会社(利用する運送会社)との運送委託契約を締結している必要があります。

申請手続きの必要書類に調印済みの運送委託契約書が含まれるのですが、この運送委託契約書の締結までの段取りが想像以上に時間がかかることが多いです。

運送委託契約書の締結までの一般的な流れは次のとおりです。

  1. 委託する運送会社の選定
  2. 契約内容の調整
  3. 運送委託契約書の作成
  4. 運送委託契約書の審査
  5. 運送委託契約書の調印

委託する運送会社の選定の場面では、委託する運送会社の保有している許認可の種類がポイントになります。

例えば、第一種貨物利用運送事業の貨物自動車の種別の登録申請を行いたい場合、委託する運送会社は次のいずれかの許認可を保有している必要があります。

  • 一般貨物自動車運送事業の許可
  • 第一種貨物利用運送事業(貨物自動車)の登録

2つ目に関しては、「利用運送事業者でいいの?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

実はこれから取得した貨物利用運送事業と同じ種別の許認可を保有している事業者であれば、委託先運送会社に選定することができます。いわゆる「利用の利用」と呼ばれるものです。

上記のいずれかの許認可を保有していない運送事業者は、事業用車両を保有している場合であっても、委託先運送会社とすることができません。

貨物自動車に関する第一種貨物利用運送事業者の外注先として、黒ナンバーの軽貨物車を自社運送している貨物軽自動車運送事業者を選定されるケースがありますが、これは認められませんのでご注意ください。

また、委託先運送会社の事業規模が大きい場合、例えば法務部がある運送会社の場合などは、先方の稟議の過程で条項の修正や追加が入りなかなか調印の段階まで進まないこともあります。

そういった事情もあり、委託先運送会社の選定の場面や、選定後の契約書調印に、事前に想定していた以上の日数がかかることがよく起きていますので、日程の余裕をもって申請準備を進めましょう。

終わりに

ここまで、貨物利用運送事業での起業で失敗しない方法についてお伝えしました。

お察しの良い方はお気づきかもしれませんが、貨物利用運送事業の登録・許可申請は、書類を揃えて行政機関に提出して終わりという簡単なものではありません。

申請準備段階において要件を一つずつ確認・調整をしていかないと、余計に手続きに時間がかかってしまい、実際に事業をはじめるまでに予期していないほど長期間かかるということも珍しくありません。

行政書士法人シグマは、運送業専門の行政書士事務所として、こういった失敗を避けたい事業者様の貨物利用運送事業の許認可手続きをお手伝いしています。

多くの貨物利用運送事業者様のお手伝いをしてきた実績があり、運送業界に関する知見もありますので、申請書類の作成や申請代理はもちろんですが、事業をはじめた後のことまで見据えた適切な許認可設計などについても事業者様と一緒に作り上げることが可能です。

貨物利用運送事業をはじめたい、手続きで失敗したくないという事業者様は、ぜひ一度お問い合わせください。

メールでのお問い合わせは24時間受け付けております。必ず2営業日以内に返信しております。返信が届かない場合には、

といった原因が考えられます。メールが届かない場合には、上記をご確認いただいたうえ、お手数ですが再度メールフォームよりお問い合わせください。

    お名前 (必須)

    メールアドレス (必須)

    お電話番号(必須)

    ご希望の返信方法 (必須)

    メッセージ本文(必須項目)

    オンライン相談対応しています

    お客様の声

    お客様の声

    行政書士

    行政書士阪本浩毅
    代表行政書士:阪本浩毅

    行政書士内藤香織
    行政書士:内藤香織

    都庁前オフィス

    武蔵小杉オフィス