事例紹介:第一種貨物利用運送事業(貨物自動車)の登録申請手続き

この記事は、第一種貨物利用運送事業(貨物自動車)の新規登録申請手続きで、「ご相談時に純資産額が300万円に満たなかった」という場合に、どのように登録手続きを行ったかについての事例解説です。

なお、許認可申請手続きは、お客様によって状況が全く異なり、今回紹介するケースにおいても、記事中には記載していない事情なども多く存在します。

そのため、全てのお客様がこの記事で紹介した方法で第一種貨物利用運送事業登録ができることを保証するものではありません。

この点、自社や当法人以外の行政書士事務所へ依頼して登録申請手続きを進めるという際にはご注意ください。

利用運送についてシグマへ相談したきっかけ

当法人にて第一種貨物利用運送事業の登録をお手伝いした事業者様のご紹介でご相談いただきました。

ご紹介者様より、事業者様の事業担当役員の方をお引き合わせしてくださるとのことで、都庁前オフィスにご来所頂ける日程調整を行わせていただきました。

都庁前オフィスで利用運送登録へ向けた初回面談

ご紹介者様と登録申請をご検討中の会社の担当役員様に、都庁前オフィスにごお越しいただいて面談を行いました。

面談では、幹線の輸送にどのような実運送を利用されるのかを伺い、貨物自動車に関する第一種貨物利用運送事業の登録が必要な事業内容であることを確認いたしました。

その後、登録を取得するための条件や手続きの流れ、必要書類、手続き費用などをご案内いたしました。

ご面談後に業務依頼申込書をご提出いただき、手続き費用のご入金確認後に登録要件のコンサルティングに着手いたしました。

登録要件のコンサルティング

登録要件のコンサルティングでは、

  • 営業所の立地や使用権限が問題ないこと
  • 取締役・監査役が貨物利用運送事業法に規定されている登録拒否事由に該当していないこと
  • 利用する運送事業者との契約締結見込であり、相手方が一般貨物自動車運送事業許可を取得していること

などを確認しました。

第一種貨物利用運送事業登録の取得のための財産的基礎である「純資産額300万円以上」については、面談時には不明だったため、後日、直近決算期の貸借対照表をご確認の上でご連絡をいただきました。

この時点で純資産額が300万円未満であったため、登録要件を満たしておらず、このまま申請を進めても登録ができませんので、何かしらの対応が必要になります。

純資産額300万未満の場合の対応方法

第一種貨物利用運送事業登録申請の審査基準では、財産的基礎として「純資産額が300万円以上」であることが求められています。

この財産的基礎は、既存法人の場合は直近決算期時点の貸借対照表に記載されている純資産額にて判断するのですが、純資産額300万円未満の場合は、資本金の額を増やす増資手続きを行うのが一般的な方法です。

増資する金額の最低額は、「直近の月次試算表の純資産の額」と「300万円」の差額ということになります。

増資すべき額がいくらなのかは、顧問税理士さんと相談をしながら決めることになりますが、増資額を決める際には、増資後から第一種貨物利用運送事業の登録完了までの期間中、純資産額300万円を下回らない金額にする必要があります。

また、増資手続きは、法務局への登録申請手続きが必要になりますので、今回の事例では、お客様とこれまで取引のあった司法書士さんに増資の登記申請をご対応いただきました。

第一種貨物利用運送事業登録申請書の提出

増資手続きが完了し登記簿謄本を取得したら、営業所を管轄する運輸支局へ登録申請書を提出いたします。登録申請の際は、下記の書類を提出しました。

  1. 第一種貨物利用運送事業登録申請書
  2. 事業の計画
  3. 運送委託契約書
  4. 宣誓書(都市計画関係法令等に抵触しないことに関して)
  5. 宣誓書(営業所が使用権限を有することに関して)
  6. 定款
  7. 履歴事項全部証明書
  8. 貸借対照表(直近決算期のもの)
  9. 合計残高試算表(貸借対照表、申請日の直近月末時点のもの)
  10. 役員名簿
  11. 履歴書
  12. 宣誓書(役員が登録拒否事由に該当しないことに関して)
  13. 委任状

増資後に第一種貨物利用運送事業の登録申請を行う場合、上記の7.~9.が重要な書類となってきます。

履歴事項全部証明書は増資後のものを運輸局に提出しますが、同じ登記簿であっても現在事項証明書では増資前の金額が記載されていないため、必ず履歴事項全部証明書を法務局で取得して提出する必要があります。

また、貸借対照表は直近決算期時点では純資産額300万円未満のものを提出します。300万円未満だからといって添付を省略することはできません

最後に、合計残高試算表は、増資後であり、かつ、申請日直近月末時点のものが必要になります。

例えば、11月に申請する場合は、10月31日時点の純資産額が記載されている合計残高試算表が必要になります。

第一種貨物利用運送事業の審査

第一種貨物貨物利用運送事業の標準処理期間は2~3か月となっておりますが、関東運輸局管内は、審査期間は3か月と考えておいた方がよいでしょう。

この3か月の期間は審査が円滑に進んだ場合であって、確認や書類の修正指示があった場合はこの期間よりも伸びます。

審査期間をなるべく短くするためには、精度の高い申請書類を作成し、修正箇所を少なくするのがポイントです。この点が、手続きに慣れた行政書士にサポートを依頼する大きなメリットのひとつでもあります。

登録通知書の受領

審査が完了すると、申請した運輸支局より、登録が完了した旨の電話連絡が入ります。登録通知書の受取は登録日から通常1週間後になります。

登録免許税の納付

審査が完了し登録されると、登録免許税9万円を納付する際に必要な書類が、運輸局より郵便で届きます。

送付先住所は登録申請を行った会社の登記簿上の本店所在地宛てになります。

貨物利用運送事業を行う営業所と本店所在地が異なる場合や、営業所が複数ある場合は、関東運輸局からの封書が届くことを登記簿上の本店所在地にある総務部門などに予め伝えておくとよいでしょう。

金融機関の窓口で登録免許税の納付手続きが完了したら、運輸局へ納付完了の届出を行います。

運賃料金設定届出書の提出

第一種貨物利用運送事業登録申請手続きの最後の手続きは、運賃料金設定届出手続きです。この運賃料金は、貨物利用運送事業者が荷主企業へ請求する運賃料金になります。利用する運送会社へ支払う外注費ではありません

ここまで手続きが完了したら、第一種貨物利用運送事業の登録申請手続きに関する行政手続きは全て完了です。

終わりに

今回のように直近決算期時点で純資産額が300万円未満の場合は、申請前に様々な対応が必要になるため手続きが複雑になります。

顧問税理士さんや司法書士さんにもご協力いただくことが多くなり、どうしても申請準備期間が長期化しますので、計画的に準備を進めていく必要があります。

手続きについてご不安をお持ちの事業者様は、私たちのように利用運送の手続き実績の豊富な行政書士事務所サポートを受けるということも検討してみてはいかがでしょうか。

要件を満たして利用運送の登録・許可を受ける方法についてアドバイスが欲しい」「複雑な手続きをスムーズに進めたい」という事業者様は、シグマにお問い合わせください。

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