利用運送事業の第一種と第二種の違いをわかりやすく解説

貨物利用運送事業には2つの種類があり、第一種と第二種に分かれています。

これらの違いがとてもわかりにくいので、「やりたい貨物利用運送事業が第一種なのか第二種なのか判断できない」というご相談をよくいただきます。

そこでこのページでは、細かい手続きの違いではなく、どのような貨物利用運送事業が第一種、第二種それぞれに該当するのかについて、わかりやすく説明していきます。

第一種と第二種の違い

まずは第一種貨物利用運送事業と第二種貨物利用運送事業の違いをざっくり表にまとめてみました。

それに続いて詳しい解説をしていきます。

第一種貨物利用運送事業 第二種貨物利用運送事業
荷主に対しての運送責任 貨物利用運送事業者が負う 貨物利用運送事業者が負う
利用する運送事業 第二種以外 トラックで集荷→幹線輸送(海運・航空・鉄道)→トラックで配達
許認可手続きの難易度 貨物自動車は難易度が高くないが、海運・航空・鉄道は大変なことが多い。 (第一種に比べて)大変なことが多い

第二種以外はすべて第一種

まず、貨物利用運送事業のなかで二種ではないものはすべて一種になるというのがポイントです。

つまり第二種がどんな形態なのかわかれば、それにあてはまらないものは第一種だと判断できます。

種別の話をする前にそもそも貨物利用運送事業とはなにかということを確認しておきますと、「他人の需要に応じ、有償で」「運送事業者の行う運送(実運送に係るものに限る。)を利用してする貨物の運送」です。

一部ややわかりにくいので言い換えると、「お客さんの依頼を受けて、有償で、自社ではない運送事業者に荷物を運んでもらう」ということです。

また、「利用の利用」と呼ばれる、貨物利用運送事業者が実運送事業者(※)ではなく貨物利用運送事業者を使った運送事業も、貨物利用運送事業に該当します。

※実運送事業者というのは、自らの運送機関(自動車、船舶、鉄道、飛行機)で貨物を運ぶ事業者のことをいいます。

手続き上の違い

その他にも、第一種貨物利用運送事業は登録制で、第二種貨物利用運送事業は許可制という違いがあります。許認可取得手続きを進める上では、第二種には第一種では提出を求められていない集配事業計画を作成しなければならないという違いがあります。

登録は許可に比べると難易度が低く感じられる方もいらっしゃいますが、国土交通省の許可処分の種類が違うだけで、登録制であっても申請書類を提出すれば誰でも事業ができるわけではありません。

登録であっても、許可と同様の細かい条件があり、申請書類提出後に審査が行われております。

さらに登録であっても、許可であっても、国土交通省や運輸局での審査期間が必要になります。

「登録だから申請書類を提出さえすればすぐに営業できる」というわけではありません。

とはいえ、ここでは「第二種のほうが手続きが大変」くらいに理解していただければ問題ないかと思います。

第二種になるかどうかのポイントは2つ

非常にざっくり言うと、第二種貨物利用運送事業になるかのポイントは以下の2つです。

  • トラックでの集荷→幹線輸送(海運・航空・鉄道)→トラックでの配達までの複合一貫輸送を提供する
  • 海運・航空・鉄道を使った幹線輸送業務に加えて、トラックを使った集荷と配達について業務についても、荷主に対する運送責任を貨物利用運送事業者が負っている

第二種貨物利用運送事業者は、貨物の集荷・幹線輸送・配達までのドア・ツー・ドアの複合一貫輸送の担い手ということになります。

幹線輸送は、荷主のニーズにあわせて海運・航空・鉄道のいずれかを利用することになります。海運は外航と内航、航空は国内と海外にと、輸送モードにあわせてそれぞれ分けられています。

第二種貨物利用運送事業のイメージ

例えば、荷主の倉庫からトラックで集荷して港に届けて、そこから船舶を使って国内もしくは海外の他の港に運び、着港から配達先の倉庫までトラックで配達するというように、荷主から配達先までのドア・ツー・ドアのでの輸送を、実運送事業者の輸送手段を利用して、一貫して提供するのが第二種貨物利用運送事業です。

大事なのは、「ドア・ツー・ドア」と「複合」です。

「ドア・ツー・ドア」というのは「集荷から配達まで」ということで、「集荷から配達まで」の輸送を一貫して提供するのが第二種の特徴です。

また、「複合」というのは、[集荷と配達を行うトラック運送]と[幹線輸送(海運・航空・鉄道)]を組み合わせたものという意味です。

ですので、荷主からトラックで集荷して、そのままトラックで配達するという場合は、ドア・ツー・ドアで貨物を運んでいますが、幹線輸送で海運・航空・鉄道を使っておらず「複合」と言えないため、第一種貨物利用運送事業(貨物自動車)に該当します。

貨物軽自動車運送事業者が集配をするケース

なお、少し細かい話になりますが、貨物の集配を軽貨物車やバイク便などといった貨物軽自動車運送事業者だと第二種にはあたりませんので注意が必要です。

例えば、日本国内での貨物の輸送に幹線輸送には内航船や国内航空便、鉄道を利用し、集荷・配達は小回りが利くという理由で黒ナンバーの貨物軽自動車を利用するケースでは、荷主に対する運送責任はドア・ツー・ドアで負っています。

しかし、集荷・配達には緑ナンバーのトラックを運行している一般貨物自動車運送事業者を利用していないため、第二種貨物利用運送事業には該当しません。

この場合は、利用する幹線輸送(海運・航空・鉄道)に対応した第一種貨物利用運送事業の登録をすることになります。

輸入や三国間での国際複合一貫輸送を行うケース

幹線輸送に外航・国際航空を使用して国際複合一貫輸送を行う場合、日本から輸出する運送業務のみが貨物利用運送事業法の適用をうけます。

従って、海外からの輸入や三国間での国際複合一貫輸送を行う場合は貨物利用運送事業法の適用をうけないため、第二種貨物利用運送事業には該当いたしません。

つまり第二種貨物利用運送事業の許可を取得せずに事業展開ができるのです。

外航船舶を利用した輸出貨物を取扱う貨物利用運送事業を行うケース

例えば、御社が日本国内では一般貨物自動車運送事業者のトラックを利用して発荷主の倉庫より集荷して、コンテナ船が出向する横浜港まで運送を行い、横浜港からシンガポール港まで、海運会社のコンテナ船を使って海上輸送を行う場合を考えてみます。

このようなケースで、シンガポール港での受取・シンガポール港から着荷主の倉庫までの配達業務を着荷主側で手配するような場合には、御社はその部分の運送責任を負わないため、発荷主の倉庫から横浜港を経由してシンガポール港までの集貨と海上輸送にあたる第一種運貨物利用運送事業の貨物自動車と外航海運の2つの輸送モードの登録を取得することになります。

これは実際にあったケースで、もともとは第二種貨物利用運送事業の許可取得を検討されていましたが、運送責任の所在について整理を行ったところ、第二種ではなく、第一種で良かったことが判明しました。

その逆に、第一種貨物利用運送事業の貨物自動車と外航海運の2つの輸送モードの登録を取得されていた事業者様が、荷主企業に対してドア・ツー・ドアでの運送責任を負っていることが判明し、第二種貨物利用運送事業(外航海運)の許可を取得する必要が判明したケースもありました。

第一種貨物利用運送事業

前述のとおり、貨物自動車、海運、航空、鉄道での運送を利用した第二種にならない貨物利用運送事業が第一種ということになります。

第一種貨物利用運送事業のイメージ

典型的な例では、さきほども挙げたような「荷主の依頼でトラックで集荷して、そのままトラックで配達する」という一般貨物自動車運送事業者を利用して運送するというケースが第一種にあたります。

また他には、幹線輸送(海運・航空・鉄道)のみを行うケースが第一種の代表的な例です。

貨物自動車以外では、日本国内の発港から海外の着港まで、コンテナ船を利用して海上輸送する外航海運が第一種貨物利用運送事業では多いケースでしょう。

航空や鉄道の幹線輸送のみというケースは少ないとは思いますが、海運のうち外航の分野では多い印象を受けています。

まとめ

このページでは、第一種貨物利用運送事業と第二種貨物利用運送事業の違いについて説明しました。

ここまで読まれてみても、「やっぱり複雑で、なかなかわかりにくい」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。

行政書士法人シグマに貨物利用運送事業の登録・許可の手続きをご依頼いただいた場合には、書類の作成や提出代行に留まらず、どちらの種別にするべきかも含めて十分なコンサルティングより行わせて頂いております。

ご検討中の貨物利用運送事業が第一種、第二種のどちらになるのかわからないという事業者様は、ぜひ一度ご相談ください

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