貨物利用運送事業をはじめるにあたっては営業所が必要になりますが、バーチャルオフィス、レンタルオフィス、シェアオフィスといった場所を営業として使いたいという方は多くいらっしゃいます。
この記事では、バーチャルオフィスやレンタルオフィスを貨物利用運送事業の営業所として使えるかどうかについて解説していきます。
先に結論から言ってしまえば、バーチャルオフィスはNG、レンタルオフィスはOK、シェアオフィスはNGということになります。
では説明していきましょう。
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貨物利用運送事業の申請書には、営業所の名称や所在地を記載するページがありますが、ここで言う「営業所」とはどのようなものを指すのでしょうか。
通常、利用運送の営業所では、荷主からの利用運送の申込の受付や、利用する運送事業者の手配といった利用運送の営業機能を有する拠点のことを営業所と呼びます。
さらに貨物利用運送事業の営業所の要件は、「審査基準」に次のように定められています。
「使用権原」というのは、ちゃんと所有していたり借りたりしていて、使う権利があるという程度の意味と考えて大筋間違いありません。
このように利用運送の処理方針には、使用権原や都市計画法等の建築関係法令に抵触していないことという基準は定められていますが、バーチャルオフィスやレンタルオフィスが貨物利用運送事業の営業所として使えるのかどうかということは、読んでみてもわかりません。
ここで基本に立ち返って貨物利用運送事業法を読んでみると、営業所についての規定があります。
それは営業所での掲示義務についてのルールで、一定の事項を見やすいように掲示しないといけないというものです。
ここからバーチャルオフィスやレンタルオフィスを利用運送の営業所として使えるかどうか考えてみます。
貨物利用運送事業法(第9条、第27条)
(事業の種別等の掲示)
第9条 第一種貨物利用運送事業者は、第一種貨物利用運送事業者である旨、利用運送に係る運送機関の種類、運賃及び料金(個人(事業として又は事業のために運送契約の当事者となる場合におけるものを除く。以下「消費者」という。)を対象とするものに限る。)、利用運送約款その他の国土交通省令で定める事項を主たる事務所その他の営業所において公衆に見やすいように掲示しなければならない。
(事業の種別等の掲示)
第27条 第二種貨物利用運送事業者は、第二種貨物利用運送事業者である旨、利用運送に係る運送機関の種類、運賃及び料金(消費者を対象とするものに限る。)、利用運送約款その他の国土交通省令で定める事項を主たる事務所その他の営業所において公衆に見やすいように掲示しなければならない。
ちなみに、第9条、第27条の規定に反して、法定事項の掲示を行わなかったり、虚偽の掲示を行った場合は、50万円以下の過料に処するという罰則が貨物利用運送事業法第68条に規定されています。
バーチャルオフィスは、実際にオフィスを借りることなく、オフィスの住所を借りる形態のオフィスです。登記の住所を借りるときの契約形態です。
そのため貨物利用運送事業者が専有するスペースがなく法定事項の掲示が難しいので、バーチャルオフィスは貨物利用運送事業の営業所としては適さないと言えるでしょう。
レンタルオフィスは、自社が専有使用できる個室が与えられているオフィスです。
個室であれば、貨物利用運送事業法に規定されている掲示物を掲示することができますので、レンタルオフィスであれば、貨物利用運送事業の営業所として適していると言えるでしょう。
シェアオフィスは、共有のフリーアドレスのデスクで執務をすることができるオフィスです。
レンタルオフィスとの違いは、自社が専有する個室があるか、ないかの違いです。施設によっては、コワーキングスペースとも呼ばれています。
シェアオフィスでは、自社が専有するスペースはなく、執務するスペースは会員の方が共有する場所になりますので、壁に掲示物をあることは通常許可されないでしょう。
利用規約にも、壁に掲示することは禁止事項として定められていることがほとんどだと思いますので、シェアオフィスは、貨物利用運送事業の営業所としては適していないと言えるでしょう。
以上のように、レンタルオフィス運営会社と賃貸借契約を締結しているなど、使用権原を有していることが前提となりますが、貨物利用運送事業を申請しようとする事業者様が契約しているのが、個室を占有するタイプのレンタルオフィスであれば、そこを営業所として貨物利用運送事業の許認可を取得することが可能です。
とはいえ、すべてのレンタルオフィスが貨物利用運送事業の営業所として適しているとは断言はできません。
そのため、私たちが手続きをお手伝いするときには、賃貸借契約書を記載内容を精査したり、現地調査を行うなどして、貨物利用運送事業の営業所としての使用可否を最終的に判断することになります。
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