貨物利用運送事業の許認可申請をお手伝いしてきた中で、お客様から聞かれた様々なご質問に、守秘義務に反しないよう配慮しつつ運輸業専門の行政書士がお答えするシリーズ。
今回は運送委託契約書についてのご質問を紹介いたします。
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現在弊社にて新規プロジェクトを企画中で、法務部より、そのプロジェクトが第一種貨物利用運送事業(※貨物自動車)に該当する可能性を指摘されました。
そこで色々調べていましたら、委託先となる運送会社との運送委託契約の内容次第では第一種貨物利用運送事業(自動車)の登録ができない可能性があると目にしました。
そこで、委託先運送会社との運送委託契約書についての基本的なルールや注意点について教えていただけないでしょうか。
※この記事中では輸送モードの「貨物自動車」については「自動車」と表記します。
利用運送の許認可手続きにおいて、運送委託契約書はかなり重要な要素になってきますので、手続きに関する事項を中心に回答いたします。
委託先となる運送会社と締結する運送委託契約ですが、第一種貨物利用運送事業(自動車)の登録をするための基本的なルールとして、運送委託契約の相手方は、次のいずれかの許認可を取得している運送事業者でなければなりません。
1.について簡単に言えば、緑ナンバーの車両を運行している事業者だということです。
そのため、実運送業者であったとしても、貨物軽自動車運送事業者は第一種貨物利用運送事業(自動車)の委託先運送会社とすることはできません。貨物軽自動車運送事業者が運行している車両のナンバーの色は緑色ではなく黒色ですよね。
次に2.についてですが、利用運送事業者を委託先にすることも可能ということです。
しかし、第一種貨物利用運送事業(自動車)の委託先にできるのは第一種貨物利用運送事業(自動車)の登録をしている貨物利用運送事業者だけです。
逆に言えば、貨物自動車以外の第一種貨物利用運送事業者や第二種貨物利用運送事業者は、委託先運送会社とすることはできません。
委託先が実運送事業者でない場合は、これから取得される貨物利用運送事業と同じ種別(第一種なのか第二種なのか)、かつ同じ輸送モードの利用運送事業者である必要があるわけです。
緑ナンバーを取得していない、いわゆる白トラック業者は、委託先にできないのは言うまでもないでしょう。
運送委託契約書の内容では、荷主に対する運送責任の所在が誰にあるのかが重要になってきます。
貨物利用運送事業では、荷主に対する運送責任は貨物利用運送事業者が負うことになりますので、貨物の遅延・紛失・破損などの貨物事故が発生し、その原因が委託先の運送会社にある場合は、荷主への責任は利用運送業者が負った上で、利用運送事業者から委託先運送会社へ求償することになります。
これが貨物利用運送事業の運送責任の本質で、委託先の運送会社は荷主に対しては直接責任を負うわけではありません。
運送責任が問題となりやすいのが、委託先を緑ナンバーの実運送業者にする場合で、運送委託契約書を実運送業者側が用意するケースです。
実運送業者から提示される契約書の中には、「荷主に対する運送責任は実運送業者が負う」と記載されているものがありますが、この内容の契約書では貨物利用運送事業登録はできません。
実運送業者が作成する運送委託契約書の多くは、荷主企業との契約書であるため、その場合には当然自らが運送責任を負うという契約内容になるわけですが、それを貨物利用運送事業者との契約に流用するため、このようなことが起きます。
私たちが第一種貨物利用運送事業の登録申請のお手伝いをするときに、運送委託契約書をお預かりして真っ先に確認するのはこの「責任の所在」に関する条項がどのように記載されているのかという点です。
貨物利用運送事業者が委託先運送会社と締結する運送委託契約書は、特定の相手方との間において継続的に生じる取引の基本となる契約書に該当します。
この契約書は「継続的取引の基本となる契約書」に該当するため、4,000円分の収入印紙の貼り付けが必要になります。収入印紙の貼付位置は左上の余白部分が一般的で、貼り付けた後には、多くの場合には契約書に押印した印鑑で消印を行います。
過去に収入印紙が貼り付けられていない運送委託契約書を第一種貨物利用運送事業の登録申請の際に添付したところ、申請窓口で収入印紙のことを指摘され、登録申請書を受理してもらえませんでした。
そもそも課税文書である運送委託契約書に収入印紙が貼り付けられていない場合は脱税となってしまいますので、4,000円分の収入印紙の貼り付けと消印は忘れないようにしてください。収入印紙は郵便局で購入することができます。
契約書最終ページある契約当事者の署名押印、記名押印の部分は、登記簿上の本店所在地・会社名・代表取締役氏名を記載し、法人代表印にて押印するのが基本となります。
ただし、契約締結について会社から委任を受けている場合は、支店長・支社長・営業所長・部長などが契約当事者として署名押印・記名押印した運送委託契約書であっても、第一種貨物利用運送事業の申請上の問題は生じません。
運送委託契約書については、貨物利用運送事業の許認可申請をするときには、弁護士や法務部が行うリーガルチェックとはまた違った側面から問題が生じることもあり、私たちがお手伝いをするときにも申請上問題のない契約書が用意できるまでに時間がかかることも少なくありません。
当法人に貨物利用運送事業の許認可申請サポートをご依頼いただいた事業者様につきましては、より詳しい運送委託契約書についての情報提供や内容チェックなど、しっかりとサポートしております。
貨物利用運送事業の許認可手続きの代行をご検討の事業者様はぜひお問い合わせください。
お電話でのお問い合わせは、平日の9:00~18:00の間、受け付けております。
お悩みについてすぐにお答えできるので、お電話でのお問い合わせをご利用いただく方も多いです。
お電話の際には「利用運送業のホームページを見た」とお伝えください。
なお、コンプライアンス上の理由で、匿名・電話番号非通知でのお問い合わせには対応しておりません。お問い合わせの際には会社名・お名前・ご連絡先などを伺っておりますのであらかじめご了承ください。
担当者不在時には伝言を残していただければ遅くとも翌営業日までに折り返し担当者よりお電話いたします。
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